発達障害ちゃんと赤ちゃん

37歳無職。ADHD。同い年の夫(双極性障害)と2歳3か月の息子と世田谷区に暮らす。わりといつも離婚5秒前。

発達障害者は発達障害者に恋をする

 

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私はADHDで夫はアスペルガー

 

私たちは、発達障害者同士の夫婦です。

 

結婚当時は夫も私も発達障害という診断は受けていませんでしたし、私も夫も自分が発達障害なんて思いもしませんでした。

 

発達障害なんて全くの他人ごと。

私は大学図書館の司書としてごく普通に働いていましたし、それだけでなく研究者時代に書いた著作が何冊か出版されており、社会的には適応できていたのだと思います。

事務作業が異常に苦手だというのはありましたが、事務仕事は基本的には事務職の方にお願いすればよかったので、助けていただき何とかなっていました。

好きなことには夢中になって能力を発揮するというADHDの特性がうまく作用していたのだと思います。仕事は楽しかったです。

 

夫も外資系のIT企業で管理職として働いていました。仕事はよくできるようで若くして取締役に就任したりしていました。

人とコミュニケーションを取ることが苦手という面でずいぶん悩んでいたようですが、それは表裏一体の長所でもありました。

人への共感能力がないゆえに仕事上で損得勘定だけで動くことが、プラスに作用しての早い出世だったと思います。

夫は社会的には成功者でした。

 

しかし私は夫の成功者という側面に惹かれたわけではありませんでした。

今から思えば私は夫がアスペルガーだから彼に惹かれたのだと思います。

その証拠に、私が付き合う前、まだ友人だった夫に宛てたメールには次のような文章が残っています。

 

「私は〇〇くんのその弱いところ、愚かさを隠さないところが愛おしいです。なんでもスマートにこなす男性にどうしてそんなにコンプレックスを感じるのかわかならい。私は彼らよりあなたを選びます。そのままで私と一緒に遊んだりしよう」

 

夫の会社は有名なIT系企業なのですが、私からみたらチャラチャラした大学のサークルのノリのような社風です。

なので、彼の上司、同僚や部下の多くはとてもフレンドリーで人生を派手に謳歌しているタイプ。外見もEXILEみたいな男の人やアイドルみたいにかわいい女の人が多くて驚きました。社内であだ名で呼び合い、休日には社内サークルでフットサルや富士登山へと行く彼ら。

アスペルガーの夫はそんな社風に馴染めるはずもなく、いつもおどおど、部下に挨拶をされても返せないし、もちろん、フットサルや富士登山へは行けません。

そして、会社の派手な人たちにひどくコンプレックスを持っていました。

とくに管理職になってからは、役員や社長と出かける機会も増えますし、チャラチャラ大学生の親玉みたいな彼らとの付き合いは夫のコンプレックスに拍車をかけていました。

 

私と出会った時もデートは重ねるのですが、自分に自信がないと言って交際には消極的でした。

そんな彼を私は好きになりました。

 

夫と出会うまで、私の周りのいた男性の多くは、社会的地位が高く、女性の扱いに慣れており、プライドが高く、全てにおいて余裕がある、そんな感じでした。

そしてその余裕しゃくしゃくな感じ、女の人を口説きなれている軽い感じに私は嫌気がしていました。

自分が女性として常に男性から評価の対象であることへの嫌気でもあったと思います。

私はドッグショーの犬じゃないんだよと。

 

 そんな私の目に夫の自信のなさは大変魅力的にうつりました。かっこつけないところも、女性の扱いに慣れていないところも。

なにより、世間に馴染めずに生きづらそうにしているところに。

夫のアスペルガー故の不器用さ、他人への距離感の掴めなさが、私には無垢なものに見えました。

恋は盲目としかいいようがありません。

 

そんな盲目状態の私は、出会って間も無く夫と結婚しようと思いました。まだ付き合ってもいないのに。

そうして私は思い立ったらすぐに行動するので、まずは夫を私の虜にして、私たちは付き合って2か月で同居して、そのひと月後には息子を授かりました。

 

最近、ADHDについての情報をいろいろ集めていると、発達障害の女性は発達障害の男性に惹かれやすいという記述をいくつか目にしました。

発達障害に気づかない母親たち』には次のような記述があります。 

 

 「発達障害のある女性は、発達障害のある男性と結婚することが多いのも事実です。ある患者さんは、『同じようなにおいがした』という表現をしていましたが、似たような特性を持つ者同士、惹かれあうものがあるのかもしれません。

 落ち着いた安定感のある普通の人より、どこか不安定だけど、ひらめきや発想、言動が独特で面白い人につい惹かれてしまうのも、発達障害の特性なのでしょう」

 

まさに、その通り。

普通の人より、変わった人に惹かれるのは、自分の生きづらに共感してくれる人を探しているからかもしれません。

 

私は夫の不器用さを今でも愛しています。

たぶん、出会った頃と同じくらい。

 

夫はどうでしょうか?

夫の生きづらさは私と出会ったことでいくらか救われたのでしょうか?

 

少しは救われていると思いたいけど。どうだろう。

 

 

 

※参考文献

発達障害に気づかない母親たち』著 星野仁彦