全然大丈夫じゃないけど美しい日々

何度絶望しても世界は美しいから私は生きる。

小学校が辛かった話

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朝、職場に着いて、自分のデスクでパソコンを立ち上げている間に紅茶を入れに行って戻り、目を通す資料をパラパラと見ながら椅子をくるくる回す。

同僚が、子宮筋腫を取るから来週から数日休むね〜貧血がひどくてさ〜病院行ったら大きなのがあってびっくりしちゃったあ〜と間延びした歌うような調子で話している。

窓の外からは救急車のサイレン。

埃っぽいオフィス。

上司のつけている香水の匂いが、エアコンの風に乗ってこちらにまで香ってくる。

それでね〜私の父が獣医でしょう、子宮なんてもう取っちゃえばいいんだよってね〜軽く言うもんだから頭にきちゃって、ひどいわよね〜もう役に立たないなら取れなんてね〜

あ、朝一会議だっけ?

「あ、はい」

 

会社は楽だなと思う。

学校は息苦しかったなと。大学は違うけど。

 

小学生の頃が一番息苦しかった。

とにかく、何をすればいいのか、どこに行けばいいのか、わからなかった。

子どもが余りにもたくさんいて、すごくうるさくて、汚くて、動き回っていて、ごちゃごちゃ固まったり、離れたりしていて、とてもこんなところにいられないと思った。

しかも子どもは私に話しかけてくる。

粗野、下品、未熟、意地悪、猿みたい。

誰かと仲良くしたいなんて思うわけない。

子どもなんて大嫌い。

自分も子どもなのに心からそう思っていた。

 

女の子達は、誰と誰が仲良しで、誰と誰が仲が悪くて、同じ筆箱を使ってるとか、誰だ休み時間に遊ぶとか、仲間はずれとか、泣いたとか、あの子ちょと嫌なところあるよねとか、私も前からそう思ってたとか、一緒にトイレに行くとか、そのペンかわいいとか、そんなの学校に持ってきちゃいけないんだとか、そんなことをなんだかいつも話していて、その全てに私は興味はなくて、話したいと思わなかった。

みんな馬鹿みたい。

そう思っていた。

教室の隅で。

 

男の子達は、とにかくうるさかった。うるさい汚い近づかないで。

どうして私の箸箱を取って逃げるの?返してと追いかけると男子トイレに逃げこんで、私が男子トイレに入ると「わ〜変態〜エッチだ〜」と騒ぐ。

最悪。

猿以下。

 

そして先生達。

いろんな先生がいたけれど、皆口を揃えて「お友達と仲良くしなさい」「大きな声でお話ししなさい」「皆んなと一緒に行動しなさい」「もっと元気よく」「もっと素直に」「もっと明るく」と言った。

確かに明るく元気で大きな声で喋る子は先生達に可愛がられていた。

でもそいつ、先生の見てないところでおとなしい子いじめてるよ。

先生は扱いやすい子どもが好き。

見たいところしか見えない目、面白くない冗談、子どもを管理することを支配することと履き違えている先生もいた。

優しく子どもをよく見ている先生もいたけれど、嫌な先生の方が多かったように思う。

 

女の子も男の子も先生もいつのまにか私のことを「変な子」「変わり者」「面倒な子」としてラベリングしていた。

授業中窓の外ばかり見ていても

歌のテストで歌わなくても

いつも体育を休んでも

忘れ物が多くても

いつもプリントをなくしても

ああ、あの子ねって感じ。

 

3年生の頃に気の合う友達ができて普通に喋るようになるまで、完全にやばい子どもだった。

学校は、自分は普通のことができないダメ人間なんだと骨身に染みこませるために行っているようなものだった。

30年も前だから当然、田舎の学校に発達障害の知識のある教師はおらず、テストはよくできたから「やる気がない」「怠けている」「先生をバカにしている」と散々言われた。

「やる気がないなら帰れ!」と言われて家にトボトボと帰ったこともある。「本当に帰ってどうする」と言われてひどく怒られたけど、意味がわからなかった。

先生は、やる気がある子どもが大好き。

 

そんか学校に馴染めない私がよく話したのは図工の先生だった。

生まれたばかりの弟の話を図工室にしに行ったのを今もよく覚えている。

「私がミルクを飲ませてあげたの」「名前はお父さんが考えたんだよ」「髪がふわふわなの」「くわ〜ってあくびをするのがすっごくかわいいんだよ」

初老の女の先生は、ニコニコ笑って聴いてくれた。

 

皆んなと同じこと、やる気、大人の思う子どもらしさ、そんなことが評価される意味のわからない場所。

 

当時もし療育を受けられていたなら。私はもっと楽に生きられたんじゃないかな。

もしかしたら弟は死ななかったんじゃないかな。

ありのままでいいと言ってくれる居場所を子ども時に見つけられたなら。

 

そんなことを考えているうちに長い会議が終わった。

ここはいいな。

私は大人になたから、自分の居たい場所でしたいことができる。

よかった。