全然大丈夫じゃないけど美しい日々

何度絶望しても世界は美しいから私は生きる。

小さなスノードームの思い出

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引っ越して半年以上経つというのに、まだ開封していないダンボールがいくつかあって、今日はそれを片付けようと箱を開けてみました。

 

自宅が差押えになり、不動産屋と喧嘩して慌てて引っ越したものですから、ダンボールの中身は整理されておらず、いろんなもこがごちゃまぜに入っています。

 

ああ、こんなところにレインコートが!

あー、これ!スノードーム美術館で展示されていたスノードームを息子が不注意で落としてしまった時に驚いて泣く彼に職員の方が「今日は来てくれてありがとう。スノードームが好きなんだね。驚いてスノードームのことを嫌いにならないでほしいから、これをどうぞ」とくださった小さなユニコーンのスノードーム!

慌てて弁償しようとするも代金を受け取っていただけませんでした。

あの時、まだ3歳の息子をスノードーム美術館に連れて行ったことを後悔して、息子の不注意を叱り、謝る私に「こんな小さなかわいい男の子がスノードームを好きでいてくれて私はとても嬉しいですよ」とおっしゃった年配の男性。

その言葉にどれだけ救われたでしょう。

小さな子どもは失敗するし、自制できないし、どうしても周りに迷惑をかけてしまう存在です。

いくら親が目を光らせてもダメな時はダメ。

仕方がない時もあります。

未熟な子どもですから、こちらがいくら対策を立て、注意しても仕方のない時が多いです。

仕方がないのに、子どもの迷惑を許さない人はいて、親が管理制御しろよと思う人もいます。

だから私は家から一歩出ると、周り迷惑をかけてはいけないととても気を張っていました。

これまでも舌打ちされたり、因縁をつけられたり、ベビーカーで両手がふさがっている時に痴漢にあったりしたことがあったので、今も息子を連れて外出する時は、極力タクシーで移動し、電車やバスを利用する時には、ボイスレコーダー、先の鋭利なドライバー、父の事務所の顧問弁護士の名刺を持って出かけています。

これは息子を守るために、そしてこちらが子ども連れの弱者だからと失礼な態度をとるゴミを絶対に許さないために。

 

もちろん優しい人もいたけれど、独身の時より遥かに周りから舐められていると感じる機会は多く、子ども産んで3年経った母親の実感として世間の目は厳しく冷たいものでした。

赤ちゃんや幼児という絶対的弱者を連れて外出するのに過度な警戒をするほどには。

 

息子はとても良い子でなのに。

世界に歓迎されていないなんてかわいそう。

そう思っていました。

 

だから、スノードーム美術館の職員の方の言葉はとても嬉しかった。

大袈裟だけど、息子が世界に受け入れられたと思いました。

 

小さなユニコーンのスノードームを揺らすと白い雪が舞いました。

息子はもうすぐ5歳になります。

落ち着いたしっかり者に成長した彼はもうスノードームを不注意で落として泣くようなことはないでしょう。

子どもの成長はあっという間。本当に早い。

今となっては、彼の未熟を、彼の不注意を、彼のわがままを、彼のコントロールできない感情を、もっと楽しめたらよかったなと思います。

雪のように溶けて消えてしまう幼さをもっと受け入れてあげればよかったなと、スノードームを揺らしながら思いました。